女性のためのリベラルアーツ講座

スパイラルとの協働事業として開催している連続講座。生き方、暮らし方、時短、心とからだ・・など様々なテーマに合わせて、多様なゲストをお迎えし、「リアル」な体験談に学びます。

    【レポート】後期 第6回『ライフ×ファッション×未来』2016年3月26日(土)

    2016年3月28日

     

    「女性のためのリベラルアーツ講座」、今期最終回のテーマは『ライフ×ファッション×未来』です。卒園、入学、異動、転勤など、さまざまなライフイベントが目白押しの春。ファッションも楽しくなる季節です。ファッションは、その人自身の自己表現であり、時代の動向が反映される社会現象でもあります。

    今回は、そんなファッションとライフスタイル、将来の捉え方がテーマ。社会調査を通して現代人の問題や悩みを追う2人の専門家をゲストにお迎えし、「自分らしさって何だろう」という難しい話題に切り込みました。
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    女性のアイデアを活かすプレゼン方法

     

    西田: 今回のゲストはお2人。

    まず、女性のための生活情報誌を発行するサンケイリビング新聞社の植田奈保子さんです。アンケート調査などを通して、時代とともに変化する主婦の生活スタイルや生活意識に密着していらっしゃいます。

    一方、社会学者の渡辺明日香さんは、ストリートファッションの定点観測から現代社会を鋭く読み解いています。

    まずは植田さんから、自己紹介をしていただきましょう。

    0326植田さん

     

    植田:私は81年にサンケイリビング新聞社に入りました。驚いたのは、マスメディア業界の古い体質です。社内言語や考え方は、完全に男性向け。上層部もほぼ男性でした。

    そんな中で、私自身「アイデアだけは女性的であるように」気をつけて来ました。

    ただし、女性の発想で企画を思いついても、女性的なプレゼン方法だと男性上司にウケが悪い。女性のプレゼンは、一見バラバラに見えることが最終的に結論へと収れんしていく形なので、男性には理解しにくいんですね。だから意識的に、結論から先に述べて論理的に積み上げていく男性的なプレゼンをしていました。

     

    0326渡辺さん

     

     

    渡辺:私は現在、女子短大でストリートファッションに基づく若者文化、色彩、生活デザインの研究をしています。幼い頃から、家庭が「質素倹約」的で、おしゃれをさせてもらえなかった。そんな家庭背景もあるかもしれませんが、ある人がなぜ、その服を選んだのか、ファッションの流行のダイナミズムにとても関心があるんです。

     

    「ママ子ファッション」とハロウィンの意外な関係

    西田:渡辺さんにお聞きしたいのですが、ファッションを学問的に捉えるお立場からみて、最近流行の「ママ子ファッション(親子おそろいのアイテムを身に付ける)」はどうですか?

     

    渡辺:子どもを産んでもおしゃれでいたい、という風潮は強まっています。かといって、母の自分だけ着飾るのはイヤ。子どもも一緒に服を楽しんで、「子どもとおしゃれしている自分が好き」になりたい女性が増えているのではないでしょうか。

     

    植田:ファッションは自己実現の手段であるように思います。ママ子ファッションも、イースターやハロウィンでの盛り上がりも、今はSNSで瞬時に共有できる。写真を見せ合えば、軽い自己実現になりますよね。ファッションに使えるお金が減って、シンプルな生活が主流になる中、合理的に自分らしさをアピールできるイベントが人気なんです。

     

    西田:地域社会が衰退し、祭りに象徴されるイベントがなくなりました。ふだんは個人で自由を追求したい、でも時には集団に属して安心感を得たい。両方を叶えてくれるのが、SNSやおそろいファッションで盛り上がるハロウィンブームかもしれませんね。

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    若い女性は「悪目立ちしたくない」けど自己実現したい

    西田:大学で教鞭をとる渡辺さんからすると、最近の女子学生はどうですか。

     

    渡辺:今の子は、少し前と比べてメイクが全体的に薄めになるなど、「悪目立ちしたくない」感情がベースにあるような気がします。でも、ハロウィンなどのイベントは別。一斉に盛り上がれるからです。

     

    植田:「自分らしさって何?」と悩む若い女性は多いですね。基本的に働く意欲はあるのですが、「自分らしい仕事が見つからない」という。メディアが「自己内省」をあおる時代ですから、仕方ないかもしれません。転職活動にもんもんとしたり、管理職になりたいか問われて立ち止まったり。

     

    渡辺:うちの学校の女子学生たちも、働くのは当然という意識はもっているのですが、いざ「自己分析」となると、よく分からなくなってしまうケースが目立ちます。

     

    西田:自己分析なんて、実際に働いてみないと本当のところは分からないですよね。

     

    「やりたいこと」に縛られないで

    植田:大半の人にとって、実は「頑張りたいこと」なんてそこまで多くない。でも皆、メディアにあふれる「やりたいことを見つけよう」というメッセージに縛られているように見えます。悩んでいる若い女性たちには、「とりあえず目の前のことを一生懸命やろうよ」と声をかけてあげたいです。

     

    西田:人間、怠惰なのが本来の姿ですものね。でも、「理想の私」もあるのでは?

     

    渡辺:ファッションやダイエット産業、なんでもそうですが「こうありたい自分」を叶えるためのツール。仕事だってそうです。一方で、「理想の私」へ向けた行為は、ハマると抜け出せない、悪魔と天使のような二面性がありますね。

     

    植田:私は家を買う際、どんな条件が良いか全て書き出してみたんです。そしたら「自分はこんなライフスタイルを望んでいるのか」ということが見えてきた。悩んだら、書き出してみるのもいいかもしれませんね。

     

    0326西田さん

     

    西田:自分ができることを少しずつ「実験」してみるのもいいですね。色んな人に「私ってどんな人?」と聞いて、マーケティングするのもアリ。リアルをみない時代に、いかにして現実を知り、「他の選択肢を選んだ自分は存在しないんだ」と思えるか。みなさんも、自らの力で「人生を拓いて行く」ことを大切にして頂きたいなと思います。この講座で、これまで学んだ「生きる知恵」をあなたらしくアレンジして、新しい一歩を笑顔で踏み出していきましょう!(了)

     

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    【登壇者プロフィール】

    <ゲスト>

    ■植田奈保子(株式会社サンケイリビング新聞社取締役メディアプロデュース局長、株式会社リビングくらしHOW研究所取締役所長)

    1957年12月京都生まれ、京都女子大学国文科卒。1981年サンケイリビング新聞社入社。編集、営業、マーケティングなど多彩に経験して、2005年7月に執行役員・東京シティ事業カンパニー長に、2006年6月同社初の女性取締役に就任。現職に至る。リビングくらしHOW研究所所長を兼務し、OLやミセスの消費観などで講演や寄稿も多数。

     

    ■渡辺明日香(共立女子短期大学 生活科学科教授)

    1972年生まれ。共立女子大学大学院家政学研究科修士課程修了。首都大学東京大学院人文科学研究科博士後期課程修了(社会学博士)。現在、共立女子短期大学生活科学科教授。

    ストリートファッションの定点観測に基づく若者文化、色彩、生活デザインの研究を行っている。著書に「ストリートファッション論」(産業能率大学出版部)、「新装改訂版 日本のファッション」(青幻舎)、「徹底図解 色のしくみ」(新星出版社)などがある。3歳の娘の子育て中ということもあり、若者のファッションだけでなく、子供やシニア世代のファッションも視野に加えつつあります。

     

    <総合コーディネーター>

    ■西田陽光(一般社団法人次世代社会研究機構代表理事)

    1997年、非営利の政策シンクタンク「構想日本」の立ち上げメンバー(運営委員)パブリシティ担当ディレクターとして毎月JIフォーラムを17年間企画運営する。2013年6月末退社。2003年(社)日本家庭生活研究協会の常務理事として「男性のワークライフバランス」事業責任者として「お父さんの十カ条」冊子作成、「ワークショップ用プログラム」の開発や男性の家庭参画推進の数々の啓蒙推進企画を実施。2013年一般社団法人次世代社会研究機構代表理事に就任。2014年「特別養子縁組推進キャンペーン」を日本財団と行う。「子育て知事同盟」応援企画を長野県と企画。子育てパパママ支援企画・女性支援企画を数々開催。

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