女性のためのリベラルアーツ講座

スパイラルとの協働事業として開催している連続講座。生き方、暮らし方、時短、心とからだ・・など様々なテーマに合わせて、多様なゲストをお迎えし、「リアル」な体験談に学びます。

    【レポート】後期 第3回『いのち×強み×自分らしく』2016年1月22日(金)

    2016年2月12日

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    人、そして社会とかかわる仕事

     

     

    西田:今回は、社会一般の人たちはもちろん、未来を担う女性たちに、特に考えてほしいテーマです。専門家のお2人をお呼びしました。

    まずは、ソフトバンクから来てくださった日下部奈々さん。自己紹介をお願いします。

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    日下部:はじめまして、ソフトバンクの人事本部で、人材開発をしている日下部です。

    弊社には約1万8000人の社員がおり、「人が組織をつくる」を日々、実感しています。

    ソフトバンクは、これまで皆さんがイメージしていたような「携帯電話会社」から、

    現在は「総合インターネットカンパニー」へと変化しています。

    インターネットで生活全般をいかに便利にしていくか、という観点で、色んな事業に取り組んでいます。だからこそ、様々な才能をもった人材の活用に力を入れているのです。

    今日はよろしくお願いします。

     

     

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    森:はじめまして、私は小児科医として働いています。小児科というのは、医療分野の中でも「子育て」、ひいては「社会」にかかわる部分がとても大きいんですね。

    私の研究テーマは「持続可能な社会と子育て」です。

    グローバル化のなかで「子どもの健康」について考えており、日本で働いている期間と、オーストラリアや、ネパールなど途上国で働いていた期間が同じくらい。

    昨日、ダッカへの出張から帰国したばかりです。

     

    持続可能な社会には、「治療」よりも「健康」が重要

     

    西田:森先生は、2人の娘さんを育てるイクメンパパでもあります。小児科の先生の立場からみた、子どもの健康問題について解説して頂きましょう。

     

    森:今日はスライドを用意してきました。「持続可能な社会と子育て」とタイトルにありますが、これは今、とても熱いテーマです。(スライドにグラフを映しつつ)

    私たちの社会は、文明化にともなって「多産多死」から「少産少死」へと移り変わっていきます。

    途上国であった時代は子どもが多く産まれ、そうでない国では晩産化と少子化が進む。その様々な要因は割愛しますが、ひとつはっきりしているのは、

    経済発展が進んだ国では寿命が伸び、そのぶん「子ども期間」が延長されるということです。すると必然的に、母親になる年齢も遅くなる。

    ところが、人間の身体は大昔からほとんど進化していないので、晩産化が進んだ先進国では、双胎率や低出生体重児の割合が増える。

    理由は、母体の加齢に伴う「子宮内環境の悪化」です。晩産化が進んだ日本では、低出生体重児の割合が9.6%。ギリシャと並んで世界1位です。

    低出生体重児は将来、生活習慣病やメンタルヘルスにかかる割合が高まるといわれています。日本だけでなく、世界で晩産化が進む現状を考えると、世界的に「将来の医療費」は増加していくでしょう。だからこそ、近視眼的ではなく、「真のゴール」は何かを見極めないといけない。

    持続可能な社会に必要なのは、人々の「治療」よりも「健康」なんです。

    現代社会は、みんな、本能を無視して働き過ぎ、睡眠を取らなさ過ぎ、そして、広く社会への関心がなさすぎる。「次世代の健康」を無視しているんです。

     

    日下部:「忙しすぎると、本能が働かなくなる」という先生のお話を聞いて、私も4歳の子どもがいるのでドキッとしました。

    毎日仕事を終え、慌てて子どもの世話をし、10時に寝かせる生活でいいのかなと。一体どうすればいいのでしょうか。

     

    森:「次世代の健康」は、個々のお母さんの問題ではなく、社会全体の問題なんです。

    子どもが幼いうちは母親がつきっきりで育てなければいけないという「3歳児神話」ではなく、もっと社会全体が、余裕を持とうよと。

    おそれないで生活のゆとりをもつことで、健康の問題は解決できるんですね。ゆとりがないとイノベーションも生まれません。

     

    西田:明治時代から「富国強兵」の流れの中で、つい最近まで、教育の目標は、目の前に与えられた課題をマニュアル通りに頑張る「企業戦士の育成」でした。

    ところが、右肩上がりの経済成長時代が終わり、これからは「創造性」を発揮できる人材と教育が必要になっている。でも、それが実現できていない。

     

    ゆとりのなさは、イノベーションの乏しさにつながる

     

    森:たとえば、フィンランドではゆとりのある少人数教育が基本です。教師が子どもの個性を見るという「コミュニケーション」が、教育の前提。マインドセットが違うんですね。

     

    日下部:フィンランドでは、欧州で最大級のスタートアップ企業の祭典「SLUSH(スラッシュ)」が開かれています。若者が創造性を発揮する場に、首相も参加する。

    「ゆとり」があるからこそ、若者のクリエイティビティや個性が発揮されている。日本では、就職活動で自分の「個性=強み」を見せるのが苦手な学生も目立ちます。

    弊社では、研修の一環として「強みを見つけるワーク」を導入しているのですが、新卒2~3年目の子が目を輝かせて取り組むんです。

    今日は、そのワークをアレンジしたものをお持ちしました。

     

    西田:早速、その「強みを見つけるワーク」、会場の皆さんもやってみましょう。

     

    自分の「良さ」を、人のために使おう

    ――日下部さんが紹介したワークは、質問から「自分の特徴を説明している」と思うものを直観で5つ選び、その組み合わせで個性を知るというもの。

    各人が選んだ項目はまったく異なり、参加した皆さんの「強み」=個性があらわになりました。

     

    日下部:「自分の個性や強みを活かす」といっても、その相手は仕事相手だけでなく、パートナーや子どもでもいい。

    他人のために自分の「良さ」を使う、と考えてみると良いかもしれません。強みは、使えば使うほど磨かれていくんです。

     

    森:結局、相手が誰であろうと「コミュニケーション」が重要なんですよね。子育て、仕事、私が携わる医療も、本質は同じ。

    教育や子育てでは、近視眼的に結果を出そうとすると、脅したり怒ったりするのが効果的な場合もある。でも、そんなやり方、長期的には必ずマイナスですよ。

     

    日下部:子どもに対しても、できていないところに目を向けるより、できているところ、「強み」に目を向けてあげると良いのではないかと思います。

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    西田:ぜひ皆さん、まずは「自分自身の強みを育てていく」ことを意識してみてください。

    自分の強み、個性を知ることは大切です。自分の価値観を絶えず問い直すことが、ひいては社会全体を見ることにもつながっていきますから。(了)

     

     

    【登壇者プロフィール(敬称略)】

     

    <ゲスト>

    森臨太郎(国立研究開発法人 国立成育医療研究センター 政策科学研究部長)

    1970年神戸市生まれ。岡山大学医学部卒業。日本で小児科医として診療に従事したのち、オーストラリアでの新生児診療や途上国での医療協力に携わる。ロンドン大学熱帯医学・公衆衛生学大学院疫学修士課程修了後、英国で当時のブレア政権の保健医療改革の一環として、母子医療の政策策定に携わる。大阪府立母子保健総合医療センター、世界保健機関、東京大学などを経て、現在は国立成育医療研究センター政策科学研究部長として、日本やグローバルレベルでの母子医療のシステム作りに携わっている。日英両国の小児科専門医、医学博士。

     

    日下部奈々(ソフトバンク株式会社 人事本部人材開発部)

    2004年立教大学文学部卒、ソフトバンク入社。新卒・中途採用、各種人材開発制度の企画・設計に携わる。2009年ソフトバンクグループ人材育成機関「ソフトバンクユニバーシティ」立ち上げにプロジェクトマネジャーとして参画。現在は、ソフトバンクグループの次世代リーダーの発掘・育成、タレントマネジメントを担う。また、各世代のキャリア開発プログラムやイベント企画、プロボノ活動としてキャリアカウンセリング、ワークショップ開催など、幅広い年代に対し「自分らしく働く」支援を行っている。米国CCE,Inc.認定GCDFキャリアカウンセラー、MBTI認定ユーザー。一児の母。

     

    <総合コーディネーター>

    西田陽光(一般社団法人次世代社会研究機構代表理事)

    1997年、非営利の政策シンクタンク「構想日本」の立ち上げメンバー(運営委員)パブリシティ担当ディレクターとして毎月JIフォーラムを17年間企画運営する。2013年6月末退社。2003年(社)日本家庭生活研究協会の常務理事として「男性のワークライフバランス」事業責任者として「お父さんの十カ条」冊子作成、「ワークショップ用プログラム」の開発や男性の家庭参画推進の数々の啓蒙推進企画を実施。2013年一般社団法人次世代社会研究機構代表理事に就任。2014年「特別養子縁組推進キャンペーン」を日本財団と行う。「子育て知事同盟」応援企画を長野県と企画。子育てパパママ支援企画・女性支援企画を数々開催。

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